ヘルプ

トピック

カメラ漫画夜話 番外編の二 カメラ少女日和

  • 写真: カメラ少女日和
(メガミマガジン編集部×デジキャパ編集部 学研)

萌えを題材にした書籍が氾濫する以前から私は萌え的感情がキッカケでそれまで興味のなかったジャンルに目を向けるということが甚だ多いように思われます。とかく難解で
「日本語でおk(お前の言ってる事はさっぱり訳が分からない、ほどの意味のネットスラング)」
と言いたくなるような古典に親しみ、なかなか面白い話が多いじゃないかと思えるようになったのは「桃尻語訳 枕草子」(橋本治 河出文庫)を読んでからでしたし、東京見物へ行ったその先はコミケもそうでしたが一番の目的はセーラームーンの聖地巡礼でした。明治時代の法廷闘争を描いた「代言人落合源太郎シリーズ」(和久峻三 徳間文庫)を読むようになったのもヒロインの芸者の鈴吉に惚れたからでしたし……赤かぶ検事や告発弁護士シリーズに比べてマイナーではありますが和久氏の作品では私はこちらが一番気に入ってます。
このトピックでも散々述べている通りデジカメの普及で写真という趣味がより身近な物になった訳ですが、さらに萌えが写真との出会いになるというのも亦楽しいことではないか。ということで今一冊出版されたカメラと萌え少女のコラボレーションを実現した画集をこちらで紹介させていただく運びと相成ります。

そもそも企画を立ち上げたのはメガミマガジン(アニメディアから派生した、アニメやゲームの女の子を集めて特集を組んでいる雑誌)編集部で、カメラの監修と解説にデジキャパ編集部が関わってます。私は自分で絵を描く機会がごく少ないので女の子とカメラのバランスがおかしくないかどうかということは実感として分からないのですが、本作にかんしては担当編集の厳しいチェック(ある絵師の方のコメントにそれを伺わせる件があります)が入っていて、絵師さんの発想やこだわりポイントもなかなかのものです。表紙の鳴子ハナハル氏が描かれたE-PL1、三晃精機のLマウントアダプターで見慣れない沈胴式レンズがついていて、
「これは何だろう? ズミクロンではないみたいだけど……」
と思ってよく見たら何とヘキサノン50mmF2.4でした。'96年に1500本限定で発売された標準レンズ(マイクロフォーサーズだと望遠になるか)で、今もエプソンR-D1やライカM9に付けて使われている方も多いレンズです。
絵のシチュエーションはなかなかに良く練りこまれており、可動液晶を下に向けて下から見上げるように撮る、夜景がきれいに撮れるのが売りのコンデジの背景に夜の煌びやかなイルミネーションを配置する、とカメラの特性を十分に生かしてます。私のお気に入りはKEI氏(初音ミクの人)ですか。歩道橋から見える夕焼けを背景にニコンD5000を構える女の子が描かれているのですが、この娘はそういう情景を撮るのが好きで、いつもこのカメラを持ち歩いてるんだな、という雰囲気がありました。典型的なカメラ女子と申せましょう。レビューの方も短い中にカメラの持つ長所や購入のためのポイントが丁寧にまとめられてます。

巻末に「瞳のフォトグラフ」のGUNP様のインタビューが掲載されてます。一連のトピックでも取り上げている通りカメラを題材にした漫画も増えましたが、この本の趣旨に一番合うのはこれだということでのピックアップでありましょう。実機を元に、しかも相原ハルカという初心者の視点をメインに誰にも分かりやすいカメラ漫画ということでも評価されてますしね。本編はハルカにとっての、
「何のために私は撮るのか」
という問いに対する答えを見つけられて、シオリとユイの出会いによってそれをもう一度明確に描いてさあいよいよ部活だという段になって話が進んでいません。あちこち調べて事情は概ね分かりましたが、現在公式な発表がない以上勝手な発言は避けるべきと考えてそちらを明確に書くことは差し控えさせていただきます(ご了承ください)。それでもこの本でカメラに興味を持っていただき、更に写真を楽しむ女の子の群像劇に触れていただければと私も一ファンとして望んでおります。どうかこの機会に「瞳のフォトグラフ」の単行本をご一読くださいと併せて私からもお願い申し上げます。

次回予告:ぱしゃりんこ(小道迷子)
2010年9月30日 こーちゃん (4)
コメント
まだコメントがありません。